丸尾聡の死ぬまで日記 復活編
いきなり入院日誌14日目 最後の晩餐
2011.1.18 いきなり入院日誌14日目 最後の晩餐
70,1kg
ケーキ職人にして
16世紀ドイツの「首斬り役人の日記」は異様に面白かった。不謹慎ではあるが。処刑者の罪状、刑の執行方法等、事実を個人的感情をほぼ排除した形で記述している。正直、「頭の悪そうな文章」である。しかし、異様な生身の迫力。そして滑稽なのだ。例えば。
「9月14日 ゲオルク・ブラウン、マンスフェルト出身。彼は蜂蜜・胡椒入りケーキ職人で、流れ者の剣客だった」
ね。一本書けそうでしょ。実際、ジョジョとかに出てきそうでしょ。荒木さん、この本読んでるんじゃないかなとも思われる節あり。で、ケーキ職人兼剣客のこの男は、旅の道連れだった青年の荷物から、ちょこちょこ金を盗み、飲み食いしてしまったり、代わりに石をいれておいたりする。で、斬首による処刑後、7、8分は四方を見回すかのように、しゃべりたそうに、首は動き口をあいたそうだ。処刑人は「今までこのような事は一度も見た事がなかった」と書いている。また、この本、囚人に「別名」の記述が多くあり、あだ名、通り名が書かれている。これが、また、即妙、さもあらん、というものが多く、たまらずある「あだ名」で夜中の病院で昨日思わず声を出して笑ってしまった。
首
朝から、首きりか・・・
昨日は、催眠剤飲まずに寝られそうだったのでチャレンジしたが、うつらうつらするなか、大抵、首斬り等の夢を見るので、断念。寝ようとして一時間後に眠剤。
実は、今まで、書かなかったが、私が今書いているのは「死刑執行人」
フランス革命でギロチンで1000人以上の首意を落としたサムソン、9代に渡り代々、罪人の首をいかに苦痛を味あわせることなく「落とす」ことに意を注ぎ修行をしてきた山田家、そして最後の浅右衛門。現代における刑務官(看守)は、彼らの仕事の延長線上に確かにいる。そんな台本を書いている最中、首をやられ緊急入院。
当初、全く思わなかったのですが、「これはもしかすると」と考えたのは、少し容態がよくなり頭が回るようになった頃。
有史以来、法律の施行以来、人の裁きにより人の手により、永遠の死をもたらされた多くの人の冥福を。彼らの手にかかり、ある時は恐怖の中である時は困惑の中で、またある時は考える間もないひとときの中で、永遠の命を失った人々に冥福を。そして、法により、人に死をもたらさねばいけなかった執行人の魂が安らかならんことを。
俺の首を、食らいたいのだな。だが、それは許すわけにはいかぬ。
俺は、書こう。書く事で、皆を慰めよう。誓う。
血糖値 105
昨夜、東小のミュージカルなどで活動している神野さんから見舞いに行きますメール。ありがとうございます、もう退院しますメール。
朝の診察
教授と担当。
なにか専門用語で「大丈夫だ」という事を話している。
「血液検査は?」
「0,5ぐらいで」
「うん。糖尿があるから。今後もお気をつけ下さい」
おお、教授。俺が糖尿と覚えていたか。教授が見るのは週に一度なんだな。
「19日ね」
「眠剤出してください。普段はね、酒飲まなきゃ眠れないんですよ。まずいでしょ」
「なるほど。二週間くらい出せると思いますよ」
朝食
全粥390g 味噌汁(青菜) プレーンオムレツ(ケチャップつき) キャベツのお浸し(人参、刻み海苔) 味付け海苔 牛乳200ml
+ワカメ、ツナ缶、納豆、リンゴ5分の1 お粥190g
しかし、最期までお粥なんだなあ。人生で一番長くお粥を食べ続けた日々だ。
お粥、実は苦手で、Twitter(ブログだったか?)でお粥をうまく食べる方法を教えてくれと書いたら、何人かが返答をくれた事がある。
今回、結論。お粥はなんにでも合います。それはご飯、白米を炊いたものがなんにでも合うのと同じで、その中で好き嫌い、特に合う合わないはありますが、基本的に何でも合います。明日の朝で「40食連続全粥を食べ続けた男」が言うのだから間違いありません。ま、なんか「しょっぺえもんがありゃあ・・・」が基本ですが。
以外に肉が合うと感じた。そういや、フィリピンじゃ、風邪引いたときに鳥のスープのお粥に、モツを脂で揚げたのをどんとのせるって言うし。
ケチャップ久しぶりだった。多すぎる気がして少し残したけど。あ、ケチャップはお粥に合わなかった。白米にはそうでもないのに、不思議だ。
外は
寒いらしい。いろんな人のメールに書いてある。昨日、母と電話で話すと「50センチも積もってるわ。雪。今、終わったとこだわ」 終わったというのは、雪かきである。うちのほうは、豪雪地帯というほどではないが、雪かきをしなければ、家の出入りや駐車場は使えなくなる。雪下ろしまで行かないが、昔、外出して帰ってきたら駐車場が雪の重みでつぶれていたことがあった。母は、忙しい弟をあてにせず、ひとりで雪かきをしているのであろう。「あんた、外は寒いよ」
桑原
でぶだが気のいい桑原が担当だ。
申し訳なさそうに「桑原です、あの、今日も私が担当です。よろしくお願いします」
お、なんだかスカイブルーの制服がまぶしいぞ。うん。おまえはスカートじゃなくていいかもしれん。
食後一時間血糖値
140
エクセレントなコントロールですね。
看護帽
おお、ナースセンターにナースキャップに、白いお揃いの服を着た一団が。
立って看護士の話を聞いている。大学病院付属の看護学校の生徒の研修に違いない!!! いや!、三つもつける事ないか。やっぱり帽子ええやないか。それにしてもナース服は着とらんな。みんなズボンや。紺色のカーディガンもお揃いやのに。なんで、あ、あ。今、病室の前の廊下を集団で通った! ちらちらこっちを見ている。どうして見てるんだい! あ・・・、サングラスと金髪でパソコンを打っているからか? あ、また、来た。へい! へい!
結局
退院間近になって、同じフロアの「食堂」が、一番仕事がしやすい事が判明した。
面会の人とベッド脇では話しにくい事を話したり、一緒にご飯を食べたりする場所。長い机と、畳がある。電子レンジも。何より陽射しがあたるのがいい。そして静かで人があまり来ない。面会のない午前中と20時以降22時までは、最も良い。
向かいの新しい
向いに新しい住人が。旦那さんも奥さんも、どこか少しおどおどしていて、こちらに「よろしくお願いします」と頭を下げる。あまり入院の経験がないのだろう。不安で仕方ないはずだ。逆に不安をかくすために、やたらと看護士に威張ったり、命令したり、文句を付けたり、あるいは同じ病室の他の患者に愛想が悪い人もいる。
しばらく立って病室へ戻ると、なんだか意識を失っているよう・・・
「戻ってきました?」と看護士 「いえ。全然返事しなくて」と奥さん。
「薬飲んでます、何か」「糖尿の薬を」「低血糖になった事ありますか」「はい、でも」「違うんですね、その時とは。じゃあ、また後で」
大丈夫なんだろうか?
血糖値 107
央ちゃんが来る。他の患者の担当なので、そのまま行こうとするが、呼び止める。
「ねえ、ちょっと、薬だけどさ。ここ、一回2個って書いてあるよね」
「書いてありますね」
「俺、昨日から一個しか飲んでないんだ」
「え」
「どうしよう? 今、もう一個飲んだ方がいい?」
「ええ?! ・・・聞いてきます」
よしよし。困った顔がいいぞ。
「丸尾さん。もう一個今飲んでください。明日からどうするかは先生と相談します。」
うんうん。
「数えてたのにすいません。丸尾さんが気がついてくれてよかったあ。」
ね。よかったよね。うんうん。
八木光太郎、柳沼大地に「芝居行けなくてすいません」メール。
二人とも入院を知らなかったようで、恐縮していた。いやいやすいません、こちらこそ。
昼食
全粥390g すまし汁(青ネギ ちくわぶ?) 白身魚のしぐれ煮(おろし) 白菜の胡麻醤油和え(人参、キューリ) イエローピーチ2分の1
+ワカメ、茹でたまご、 リンゴ5分の1
全粥160gほど
このイエローピーチって、病院食によく出てくる。ビニルに入った多分冷凍保存してある果物。シロップ漬けとかではないと思う。黄桃、かね?
病院でないと食べないなあ。ようするに黄色い桃の缶詰だ。あ、ということはシロップ漬けなのかな。なぞだ。それによってカロリーも炭水化物尾ずいぶん違うんだが。正直、食べただけではわからない…。生の黄桃を食べた事がないから。
炭水化物量、桜桃、生だとして、51g 64ほど血糖値アップ、のはず。
一時間後血糖値
172
まったく計算通りで驚き。となるとやはり桃はシロップ未使用か。
だが果糖で急激に上がるというのは、たしかにあるかも。食後30分でかなり強い眠気。仮眠した。血糖値が上がると眠くなるのだ。これが、また抗い難い。車を運転していたら、絶対止めて寝なくては駄目。わたしは、仕事をしていて、対面で、つまり一人で研修を受けていたときに、これになり、どうしようもなく首ががっくんがっくんした。講師の若い女性上司に「大丈夫ですか、大丈夫ですか」「・・・大丈夫、大丈夫」と言いながら意識ほとんどなく、仕方なくインスリンを打たせてもらうため、中座した。1単位打っただけおさまったが。そういう体験がある。
食後、急激に眠くなる人は、一度糖尿病の検査をした方がいい。
健康診断等で、血糖値に異常がなくても、食後だけ急激に上がる、そういうパターンの糖尿病もあるからだ。今の、私の状況はそれに近い。
144 92
36,6分
でぶだが気のいい桑原とも今日でお別れ。
「明日,退院だから」と御礼を言おうとしたら後の方はごニョゴニョとなってしまった。「よかったですねえ」
首筋を触って、昨日より良くなっている、という。
確かにそんな感じだ。しこりが小さくなりほぼなくなったような気さえする。
「退院して何か心配な事あります?」
「食べ物、かな。ずっとお粥だっただろ。辛いものとか」
「好きですか、辛いの?」
「好きだね」
「あと炭酸飲料とか、味が濃いもの、ええ、辛いもの、は次の外来で先生と話すまでやめた方がいいです」
ええ、今、冷蔵庫にダイエットコークありますけど・・・。そういえば、前に入院中一度飲んだとき。変な感じがしたものなあ。
「煙草は、よくない、よね?」
「よくないです」
「じゃあ、やめるか、せっかく二週間もやめたんだし」
「高くなったし」
「そうだよなあ」
「あとは血糖コントロールですね。自分で作られるんですか」
「だいたいそうだね」
「じゃあ、大変ですね」
「そっちは、まあ、長い事やってきてるから」
炭酸、濃い味、辛いもの、煙草。とりあえずNG
ご飯はよく噛めば、お粥じゃなくても、との事。
ありがとう、桑原。
売店で「糖尿病用食品」つまり機能食品という奴を買う。鉄分やカルシウムの入った振りかけとか、減塩で小分けになっている醤油、出汁入り醤油、それからこれも小分けになっているドレッシング。2787円也。
小分けになった塩を忘れた。買い足す。
血糖値 97
夕食
全粥390g チキンカレーソティ ミックスベジタブルソティー(グリンピース、コーン、人参) マカロニサラダ キャベツのシソ風味 スープ(大根、人参)
自分で+ ワカメ ゆで卵 納豆 お粥160g
“最後の晩餐”である。
鳥肉は確かにカレー粉の香り(各種スパイスじゃなくてカレー粉!!)がして、美味しゅうございました。ミックスベジタブル。家でも食べないようにしているベジタブルと言いながら炭水化物に気をつけなくてはいけない食品、久しぶりに食べ、美味しゅうございました。マカロニサラダ。小学校の時の給食で勘違いをした担任に、無理矢理山盛りのマカロニサラダを食べさせられた事があり、未だに数少ない好きでないものの一つで、炭水化物の面からも敬遠していました。美味しゅうございました。中濃ソースが一袋。何に使うかわからないので半分ずつマカロニサラダとミックスベジタブルにかけました。美味しゅうございました。キャベツのシソ風味。たしかにシソの香りと軟らかいキャベツ。それでも美味しゅうございました。スープ。田舎のお雑煮の味でした。美味しゅうございました。ワカメ、ゆで卵、納豆、今日はありませんでしたが、シーチキン。どれも定番で私の食生活を上手に支えてくれ、美味しゅうございました。聡は、もう少し走り続けます。
“最後の晩餐”
元々死刑囚が執行前夜に食べる食事の事。ドイツ語圏内で盛んに行われていたと言われ、囚人が好きなものを食べさせたという。あるいは囚人が嫌だと言っても、ごちそうを用意し無理矢理食べさせたらしい。腹一杯で死んでくれ、というわけだ。アメリカでは州によってだが、現在もこうした慣習があり、囚人からのリクエストで多いのは、ケンタッキーフライドチキンだそうだ。
一時間後血糖値164
明日の退院打合せで、結構たくさんメール。
大日向裕実、平田優から祝退院メール。
今日も夜中、ペンライトの明かりを頼りに執筆。
がんばったよ。俺。
明日の朝、もう一踏ん張りして帰ろう。
しかし、看護士も大変だ。今日手術をして戻ってきた患者のところに、さっきから15分に一度ずつ様子を見にきている。
東京新聞、産經新聞、ブラックコーヒー、ダイエットコーク、機能食品各種。
70,1kg
ケーキ職人にして
16世紀ドイツの「首斬り役人の日記」は異様に面白かった。不謹慎ではあるが。処刑者の罪状、刑の執行方法等、事実を個人的感情をほぼ排除した形で記述している。正直、「頭の悪そうな文章」である。しかし、異様な生身の迫力。そして滑稽なのだ。例えば。
「9月14日 ゲオルク・ブラウン、マンスフェルト出身。彼は蜂蜜・胡椒入りケーキ職人で、流れ者の剣客だった」
ね。一本書けそうでしょ。実際、ジョジョとかに出てきそうでしょ。荒木さん、この本読んでるんじゃないかなとも思われる節あり。で、ケーキ職人兼剣客のこの男は、旅の道連れだった青年の荷物から、ちょこちょこ金を盗み、飲み食いしてしまったり、代わりに石をいれておいたりする。で、斬首による処刑後、7、8分は四方を見回すかのように、しゃべりたそうに、首は動き口をあいたそうだ。処刑人は「今までこのような事は一度も見た事がなかった」と書いている。また、この本、囚人に「別名」の記述が多くあり、あだ名、通り名が書かれている。これが、また、即妙、さもあらん、というものが多く、たまらずある「あだ名」で夜中の病院で昨日思わず声を出して笑ってしまった。
首
朝から、首きりか・・・
昨日は、催眠剤飲まずに寝られそうだったのでチャレンジしたが、うつらうつらするなか、大抵、首斬り等の夢を見るので、断念。寝ようとして一時間後に眠剤。
実は、今まで、書かなかったが、私が今書いているのは「死刑執行人」
フランス革命でギロチンで1000人以上の首意を落としたサムソン、9代に渡り代々、罪人の首をいかに苦痛を味あわせることなく「落とす」ことに意を注ぎ修行をしてきた山田家、そして最後の浅右衛門。現代における刑務官(看守)は、彼らの仕事の延長線上に確かにいる。そんな台本を書いている最中、首をやられ緊急入院。
当初、全く思わなかったのですが、「これはもしかすると」と考えたのは、少し容態がよくなり頭が回るようになった頃。
有史以来、法律の施行以来、人の裁きにより人の手により、永遠の死をもたらされた多くの人の冥福を。彼らの手にかかり、ある時は恐怖の中である時は困惑の中で、またある時は考える間もないひとときの中で、永遠の命を失った人々に冥福を。そして、法により、人に死をもたらさねばいけなかった執行人の魂が安らかならんことを。
俺の首を、食らいたいのだな。だが、それは許すわけにはいかぬ。
俺は、書こう。書く事で、皆を慰めよう。誓う。
血糖値 105
昨夜、東小のミュージカルなどで活動している神野さんから見舞いに行きますメール。ありがとうございます、もう退院しますメール。
朝の診察
教授と担当。
なにか専門用語で「大丈夫だ」という事を話している。
「血液検査は?」
「0,5ぐらいで」
「うん。糖尿があるから。今後もお気をつけ下さい」
おお、教授。俺が糖尿と覚えていたか。教授が見るのは週に一度なんだな。
「19日ね」
「眠剤出してください。普段はね、酒飲まなきゃ眠れないんですよ。まずいでしょ」
「なるほど。二週間くらい出せると思いますよ」
朝食
全粥390g 味噌汁(青菜) プレーンオムレツ(ケチャップつき) キャベツのお浸し(人参、刻み海苔) 味付け海苔 牛乳200ml
+ワカメ、ツナ缶、納豆、リンゴ5分の1 お粥190g
しかし、最期までお粥なんだなあ。人生で一番長くお粥を食べ続けた日々だ。
お粥、実は苦手で、Twitter(ブログだったか?)でお粥をうまく食べる方法を教えてくれと書いたら、何人かが返答をくれた事がある。
今回、結論。お粥はなんにでも合います。それはご飯、白米を炊いたものがなんにでも合うのと同じで、その中で好き嫌い、特に合う合わないはありますが、基本的に何でも合います。明日の朝で「40食連続全粥を食べ続けた男」が言うのだから間違いありません。ま、なんか「しょっぺえもんがありゃあ・・・」が基本ですが。
以外に肉が合うと感じた。そういや、フィリピンじゃ、風邪引いたときに鳥のスープのお粥に、モツを脂で揚げたのをどんとのせるって言うし。
ケチャップ久しぶりだった。多すぎる気がして少し残したけど。あ、ケチャップはお粥に合わなかった。白米にはそうでもないのに、不思議だ。
外は
寒いらしい。いろんな人のメールに書いてある。昨日、母と電話で話すと「50センチも積もってるわ。雪。今、終わったとこだわ」 終わったというのは、雪かきである。うちのほうは、豪雪地帯というほどではないが、雪かきをしなければ、家の出入りや駐車場は使えなくなる。雪下ろしまで行かないが、昔、外出して帰ってきたら駐車場が雪の重みでつぶれていたことがあった。母は、忙しい弟をあてにせず、ひとりで雪かきをしているのであろう。「あんた、外は寒いよ」
桑原
でぶだが気のいい桑原が担当だ。
申し訳なさそうに「桑原です、あの、今日も私が担当です。よろしくお願いします」
お、なんだかスカイブルーの制服がまぶしいぞ。うん。おまえはスカートじゃなくていいかもしれん。
食後一時間血糖値
140
エクセレントなコントロールですね。
看護帽
おお、ナースセンターにナースキャップに、白いお揃いの服を着た一団が。
立って看護士の話を聞いている。大学病院付属の看護学校の生徒の研修に違いない!!! いや!、三つもつける事ないか。やっぱり帽子ええやないか。それにしてもナース服は着とらんな。みんなズボンや。紺色のカーディガンもお揃いやのに。なんで、あ、あ。今、病室の前の廊下を集団で通った! ちらちらこっちを見ている。どうして見てるんだい! あ・・・、サングラスと金髪でパソコンを打っているからか? あ、また、来た。へい! へい!
結局
退院間近になって、同じフロアの「食堂」が、一番仕事がしやすい事が判明した。
面会の人とベッド脇では話しにくい事を話したり、一緒にご飯を食べたりする場所。長い机と、畳がある。電子レンジも。何より陽射しがあたるのがいい。そして静かで人があまり来ない。面会のない午前中と20時以降22時までは、最も良い。
向かいの新しい
向いに新しい住人が。旦那さんも奥さんも、どこか少しおどおどしていて、こちらに「よろしくお願いします」と頭を下げる。あまり入院の経験がないのだろう。不安で仕方ないはずだ。逆に不安をかくすために、やたらと看護士に威張ったり、命令したり、文句を付けたり、あるいは同じ病室の他の患者に愛想が悪い人もいる。
しばらく立って病室へ戻ると、なんだか意識を失っているよう・・・
「戻ってきました?」と看護士 「いえ。全然返事しなくて」と奥さん。
「薬飲んでます、何か」「糖尿の薬を」「低血糖になった事ありますか」「はい、でも」「違うんですね、その時とは。じゃあ、また後で」
大丈夫なんだろうか?
血糖値 107
央ちゃんが来る。他の患者の担当なので、そのまま行こうとするが、呼び止める。
「ねえ、ちょっと、薬だけどさ。ここ、一回2個って書いてあるよね」
「書いてありますね」
「俺、昨日から一個しか飲んでないんだ」
「え」
「どうしよう? 今、もう一個飲んだ方がいい?」
「ええ?! ・・・聞いてきます」
よしよし。困った顔がいいぞ。
「丸尾さん。もう一個今飲んでください。明日からどうするかは先生と相談します。」
うんうん。
「数えてたのにすいません。丸尾さんが気がついてくれてよかったあ。」
ね。よかったよね。うんうん。
八木光太郎、柳沼大地に「芝居行けなくてすいません」メール。
二人とも入院を知らなかったようで、恐縮していた。いやいやすいません、こちらこそ。
昼食
全粥390g すまし汁(青ネギ ちくわぶ?) 白身魚のしぐれ煮(おろし) 白菜の胡麻醤油和え(人参、キューリ) イエローピーチ2分の1
+ワカメ、茹でたまご、 リンゴ5分の1
全粥160gほど
このイエローピーチって、病院食によく出てくる。ビニルに入った多分冷凍保存してある果物。シロップ漬けとかではないと思う。黄桃、かね?
病院でないと食べないなあ。ようするに黄色い桃の缶詰だ。あ、ということはシロップ漬けなのかな。なぞだ。それによってカロリーも炭水化物尾ずいぶん違うんだが。正直、食べただけではわからない…。生の黄桃を食べた事がないから。
炭水化物量、桜桃、生だとして、51g 64ほど血糖値アップ、のはず。
一時間後血糖値
172
まったく計算通りで驚き。となるとやはり桃はシロップ未使用か。
だが果糖で急激に上がるというのは、たしかにあるかも。食後30分でかなり強い眠気。仮眠した。血糖値が上がると眠くなるのだ。これが、また抗い難い。車を運転していたら、絶対止めて寝なくては駄目。わたしは、仕事をしていて、対面で、つまり一人で研修を受けていたときに、これになり、どうしようもなく首ががっくんがっくんした。講師の若い女性上司に「大丈夫ですか、大丈夫ですか」「・・・大丈夫、大丈夫」と言いながら意識ほとんどなく、仕方なくインスリンを打たせてもらうため、中座した。1単位打っただけおさまったが。そういう体験がある。
食後、急激に眠くなる人は、一度糖尿病の検査をした方がいい。
健康診断等で、血糖値に異常がなくても、食後だけ急激に上がる、そういうパターンの糖尿病もあるからだ。今の、私の状況はそれに近い。
144 92
36,6分
でぶだが気のいい桑原とも今日でお別れ。
「明日,退院だから」と御礼を言おうとしたら後の方はごニョゴニョとなってしまった。「よかったですねえ」
首筋を触って、昨日より良くなっている、という。
確かにそんな感じだ。しこりが小さくなりほぼなくなったような気さえする。
「退院して何か心配な事あります?」
「食べ物、かな。ずっとお粥だっただろ。辛いものとか」
「好きですか、辛いの?」
「好きだね」
「あと炭酸飲料とか、味が濃いもの、ええ、辛いもの、は次の外来で先生と話すまでやめた方がいいです」
ええ、今、冷蔵庫にダイエットコークありますけど・・・。そういえば、前に入院中一度飲んだとき。変な感じがしたものなあ。
「煙草は、よくない、よね?」
「よくないです」
「じゃあ、やめるか、せっかく二週間もやめたんだし」
「高くなったし」
「そうだよなあ」
「あとは血糖コントロールですね。自分で作られるんですか」
「だいたいそうだね」
「じゃあ、大変ですね」
「そっちは、まあ、長い事やってきてるから」
炭酸、濃い味、辛いもの、煙草。とりあえずNG
ご飯はよく噛めば、お粥じゃなくても、との事。
ありがとう、桑原。
売店で「糖尿病用食品」つまり機能食品という奴を買う。鉄分やカルシウムの入った振りかけとか、減塩で小分けになっている醤油、出汁入り醤油、それからこれも小分けになっているドレッシング。2787円也。
小分けになった塩を忘れた。買い足す。
血糖値 97
夕食
全粥390g チキンカレーソティ ミックスベジタブルソティー(グリンピース、コーン、人参) マカロニサラダ キャベツのシソ風味 スープ(大根、人参)
自分で+ ワカメ ゆで卵 納豆 お粥160g
“最後の晩餐”である。
鳥肉は確かにカレー粉の香り(各種スパイスじゃなくてカレー粉!!)がして、美味しゅうございました。ミックスベジタブル。家でも食べないようにしているベジタブルと言いながら炭水化物に気をつけなくてはいけない食品、久しぶりに食べ、美味しゅうございました。マカロニサラダ。小学校の時の給食で勘違いをした担任に、無理矢理山盛りのマカロニサラダを食べさせられた事があり、未だに数少ない好きでないものの一つで、炭水化物の面からも敬遠していました。美味しゅうございました。中濃ソースが一袋。何に使うかわからないので半分ずつマカロニサラダとミックスベジタブルにかけました。美味しゅうございました。キャベツのシソ風味。たしかにシソの香りと軟らかいキャベツ。それでも美味しゅうございました。スープ。田舎のお雑煮の味でした。美味しゅうございました。ワカメ、ゆで卵、納豆、今日はありませんでしたが、シーチキン。どれも定番で私の食生活を上手に支えてくれ、美味しゅうございました。聡は、もう少し走り続けます。
“最後の晩餐”
元々死刑囚が執行前夜に食べる食事の事。ドイツ語圏内で盛んに行われていたと言われ、囚人が好きなものを食べさせたという。あるいは囚人が嫌だと言っても、ごちそうを用意し無理矢理食べさせたらしい。腹一杯で死んでくれ、というわけだ。アメリカでは州によってだが、現在もこうした慣習があり、囚人からのリクエストで多いのは、ケンタッキーフライドチキンだそうだ。
一時間後血糖値164
明日の退院打合せで、結構たくさんメール。
大日向裕実、平田優から祝退院メール。
今日も夜中、ペンライトの明かりを頼りに執筆。
がんばったよ。俺。
明日の朝、もう一踏ん張りして帰ろう。
しかし、看護士も大変だ。今日手術をして戻ってきた患者のところに、さっきから15分に一度ずつ様子を見にきている。
東京新聞、産經新聞、ブラックコーヒー、ダイエットコーク、機能食品各種。
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