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丸尾聡の死ぬまで日記 復活編

ピンパーネル

間違えてしまった。
「レッドピンパネール」ではなく、
宝塚星組公演ミュージカルは、
「スカーレットピンパーネル」でした。

レッドとスカーレットが違って、ピンパネールではなくピンパーネルだったわけですな。

うーむ。
実は、これはわたしのいらぬ教養、とはいいがたいか、雑学のなせ業でした。

昔昔、アントニオ猪木が新日本プロレスを旗揚げした頃、日本プロレスの妨害にあい、有名な外国人レスラーをブッキング出来ませんでした。
そのときに、カールゴッチが「それならば俺がいこう」とやってきて、また自分がブッカーとなり(わからない人は飛ばしてね)、新日本にレスラーを送り込んだわけです。
そのレスラーの中に、「レッドピンパネール」という人がいたのですね。
「恐怖の紅はこべ」と呼ばれていたとかいないとか。

すいません。もちろんリアルタイムでは知りませんので、書物で得た知識です。

さて、宝塚は、「スカーレットピンパーネル」
主演パーシーの安蘭けいは、K女史が若手の頃から応援して来たという。
最高齢でのトップ、背は小さい。
芝居は、なんというか宝塚的でないところが少々。
きっと、退団しても、他の舞台ですぐにやれるだろうと感じさせる。

歌がよい。
今まで聞いた現役の宝塚の女優の中でトップか。
アーチキュレーションもはっきりしている。
楽しんで演じているふうもよい。
娘役、マルグリットの遠野あすかもよい。
というか、この人の芝居は相当いける。
安蘭けいとの相性がまたよい。聞いたところによると、組み替えで、この二人はコンビになったのだとか。

敵役のショービラン、袖希礼音もよかったと言えるだろう。
宝塚にありがちな飲み込む発声のため、何を言っているかよくわからんのだが、
歌になると、くっきりした。
また、乱暴な情熱的な役作りがフィットした。

レ ミゼラブルのジャヴェール警部の役どころなのだが、まあ、こういうジャヴェールパターンとでも言うべき、役づくりは、一つの典型になった。
まあ、しかし、原作では、ジャベールは、ちび,はげ、小太りなんだが・・・

簡単に言うと、イギリスの貴族が、フランス革命後、暴走する人民革命軍から迫害を受けているフランス貴族を助け、「スカーレットピンパーネル」という仮面の騎士に身を隠し、大活躍する話だ。

おまえ、「ベルサイユの薔薇」で、フランス革命を庶民の側から描き、貴族の苦悩と悲劇でセンセーションを巻き起こした劇団のくせに、革命否定劇かよ、と最初の45分間くらいは、ムカムカするのも当然だろう。
が、まあ、特に二幕のテンポの良さと、いい意味での馬鹿らしさ、を見ると、そんなこと宝塚に言うだけ野暮ね、と感じたのでありました。

脚色○
特に、歌が引き継がれていくところの仕掛け、
そして、冒頭、いきなり新婚夫婦に問題が起きて、それを軸に物語が最後まで進むところ等、やはり上手、秀逸でございました。

また、観に行きとうございます。

あれ、口調が変になっちゃった。


    11:23 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top

ああ宝塚

宝塚に行く。
そう、あの宝塚である。東京宝塚劇場にいったであるよ。
あれ? なんか変な言葉遣いになっちゃった。
緊張、しています。前の日なんか、「明日は宝塚だ、宝塚だ、宝塚だ・・・」
飲み過ぎてしまったのである。

正直に言おう。
生で宝塚を見るのは初めて。映像では何度もあるのだが、生宝塚初体験の日。
このブログもなんだかきちんと書ける気がしないのさ。(さ、ってことはないよな・・・)

実はうちの平沼寧の誕生日祝いであった。女優へのお祝いに芝居に連れて行くとは、なんと生真面目な演出家であり、素晴らしい座長であろう。宝塚に詳しい友人に席を頼み、ガイド役をしてもらう。(特に名を秘す) SS席である。三席で30000円を越えるのである。誕生日から三ヶ月も経って、この良き日の観劇が実現したのは、私の財政状態による。(文章が変だが、もう気にしないわ)

2000席である。昼の公演でもあり、ご夫人がほとんどであったが、満席である。
金髪にサングラスで黒尽くめで、足をひきずっている私は、かなり目立った。
しかし、2000席だよ。満員だよ。一月半公演するんだよ。予算いくらなんだ。
すぐに計算してしまうのは、小劇場のプロデューサーの哀しい性。

開演前と休憩時間は、客席で飲食可。

と、周辺状況ばかりの話だが、二時間の芝居、ショー。実は結構面白かった。
もともと、ミュージカルやショーを仕事で結構やってきたのだが、まず宝塚というシステムに感心。企画、脚本、演出、他スタッフ、俳優の演技、歌、踊り、そして劇場自体に至るまで、一つの方向を向いている。これは、ありそうでないこと。歌舞伎を連想。

観劇の演目は「黒蜥蜴」。あの江戸川乱歩原作の奴。話は知っている。他の舞台も見ている。脚本、演出は、木村信司。宝塚の中では、わりと社会的政治的な作品がある人だと聞く。主役、明智小五郎に春野寿美礼、黒蜥蜴に桜乃彩音。
台本、演出は実に澱みがない。オープニング、回想シーンでセリが使われるが、回想から醒めて、このセリが下りる。少女時代の黒蜥蜴が消えるのだ。だが、これが通常のバーのシーンになってもすぐには上がってこない。「あれれ」と思っていると、実にいいところで、迫り上がって決まった。芝居が落ち着いて、俳優の心情がふくらんで動きが止まったところ。こういうことはなかなか出来ない。行き届いている、そう感じた。

俳優はどうか。主役の春野寿美礼。滑舌の悪さには、いささかげんなり。日本語の歌は、とにかく歌詞がわからなかった。ショーでスキャットや英語の歌詞になるといい。ひとつもきちんと聞こえるフレーズがないというのはいかがなものか。得意な音域での声の伸びは、さすがなのだけれど。あと、幕切れの決め台詞が、言葉として聞こえてこないのは辛かった。作家なので、こういうことには点が辛い。だが、その佇まい、さすが。男役のスターであることに、何の疑問もない。
あえて、もう一つ言えば、ユニゾンで踊る時のダンスのずらし方(多分、トップの特権だと思う、つまりトップはずらして踊ってもいい)が、いささか鼻についた。ずらす事自体は構わない。が、それがもう少し納得できれば、例えば色気に、例えば格好よさに見えれば、と思った。

70人の俳優が出てくるシーン。芝居でもショーでも何カ所かあったが、見事。また実に澱みない。発声、身体、その他大勢でいるべき時の演技。皆同じ。
正直に言えば、発声法やダンスのやりかたは、自分の好みではない。しかし、作品の中で、彼女たちが同じ訓練を受けて育っていることは、必須条件になっているような気がした。だからこその、宝塚である。ただ、別の人間同士が、そこにいることによって時々舞台上でおこる、うねり上がっていくような熱はないのだ。これは、決して悪口ではなく、そういうものを目指し、実際に作り上げ、システムとして機能し、少なくない支持を得て、収益を上げている。これは素晴らしいことだと素直に思う。

実は、台本、演出の澱みなさも計算なのではないか。一本見ただけなので、はっきりとはいえない。だが、ドラマとしては、少し弱い。それはある意味、澱みがなさ過ぎるから。
観ながら考えた。
人間の本質みたいなものが浮かび上がること。そういうものではない・・・これは、なんだろうな・・・
隣に座っていたガイド役がオペラグラスで観ていた。
ああ、そうか。当たり前だ。役者を見に来てるんだものな。
役者を観るための芝居だ。
歌舞伎もそうだし・・・
作家やドラマそのものじゃないんだよ・・・

実に当たり前の事に気がつき、苦笑した。

劇場内で5回人にぶつかる。滅多に人にぶつからないのに、何故?と思う。
劇場の雰囲気が違う。なにかに似ている。私がよく行くのは400人以下の、現代演劇の小屋・・・
ああ、コンサートだ。コンサートに似ている。


平沼は黒蜥蜴が死んだところで号泣。
「だって可哀想だもん」
ふむ。実は私もちょっと来てたりして。

宝塚初体験。
どうであったかは、6月にまた観劇の予定を立てたことで、想像頂ければと思う。

なんだか、内容も文体もまとまらぬが、異質との出会いはこんなものかもしれない。

    23:48 | Trackback : 0 | Comment : 5 | Top

ミュージカル!!

ミュージカルブームであるらしい。
確かに公演数は、ずいぶん増えた。ホリプロやジャニーズなど、人気タレントを抱えることころが制作する作品が増えたのが、直瀬的に人気につながっているのだろう。だが、その反面、昔なら日本で上演される事がなかっただろう海外の作品の上演がある。それ自体は悪いことではないが、レベルが落ちている。
告白する。
私は、結構ミュージカルやってます。しかも最初は役者としてたくさん・・・本も書きました・・・演出もしました・・・、恥ずかしながらミュージカルの戯曲の指導まで・・・

今回、作・演出している劇団ポプラの「三年寝太郎物語」
「ぜひミュージカルを」
「恥ずかしいので音楽劇でいいですか」

舞台でいきなり人がうたうというのがまず恥ずかしい。もう、かなり段取りを踏まないとうたわせる本を書けない。台詞でいえない事を歌で、歌で無理な事を踊りで、踊りが無理な事を台詞で。こうでないと書けない。歌う必然性である。何年か前に書き下ろしたミュージカルらしき芝居は、どうやら好評のようで毎年再演してくれているが、これも、台本依頼時、要望はミュージカルそのもの、であった。で、苦し紛れに、ある商店街が客がいなくなり危機を迎え、アイドルグループを自前で発信する話、はどうですか、と提案したら、それが通り、何とか書いた。が、これなら歌う必然性がある。
所詮は、芝居の作家なのでこういう風にしかけない。
が、世の中には、私を「ミュージカル」の作家だとおもっている人が、少なからずいて、話が来るのだ。ま、それはありがたいんですけれどね。プロですし何でもやります。
シナリオの仕事もしているし。だが、俺は劇作家です。
が、なんだか、それも馬鹿らしくなってきたので、昨年始めたユニット「ロクデナシ」では、堕天使をテーマに、タイ映画のような芝居を作るつもりだ。えへん、歌入り芝居は任せなさい?という宣言でもある。今秋予定。平沼寧と長橋佳奈という極上の「タマ」と共同作業になる。
しかし、劇団の芝居とは、落差が激しいわなあ。両方見て。

まあ、なんにせよ、現在「寝太郎」で一緒に仕事をしている、音楽のひぐちりえ、振付の工藤ちゃんはとてもいいのだ。なぜなら、彼女たちは音楽や踊りの専門家であるが、芝居がわかるからだ。
このことについてはまた書く。
うーん。なかなかね、作っている人以外はわからないだろうけれど、なかなかいないんだよ、そういう人。
    01:27 | Trackback : 0 | Comment : 0 | Top
終了しました
震災による休演もございましたが、劇場の協力を得て代替公演を行ない、予定通りのステージ数を終えました。困難な状況の中ご来場くださったお客様に、心より感謝致します。また、ご協力くださった方々、お心をお寄せくださった皆様にも。本当にありがとうございました。

『死刑執行人
~山田浅右衛門とサンソン』



共同体の和を著しく乱した者は
生きる権利を失う
彼らの存在を世から消す
それが死刑執行人

[会場]
テアトルBONBON
中野駅徒歩5分

[タイムテーブル]
3月9日(水)~15日(火)
9日(水) 19:00
10日(木) 19:00
11日(金) 19:00
12日(土) 14:00
13日(日) 14:00/19:00
14日(月) 14:00/19:00
15日(火) 14:00

詳細は公式サイトでご確認ください
プロフィール

丸尾聡

Author:丸尾聡
○劇作家・演出家・シナリオライター・俳優
○“世の中と演劇するオフィスプロジェクトM”代表


糖尿病演劇人として、日々戦いの毎日
代表作に、戯曲『飯綱おろし』『海峡を越えた女』『離宮のタルト』、オーディオドラマ『バッテリー』『精霊の守り人』『残置物処理班』など

ワークショップ
*開催日程は公式サイト
 ご確認ください

■ベーシック・ワークショップ
 『声のれっすん
俳優志望者・スキルアップを目指す俳優、そして劇作家や演出家とその卵。幅広い演劇人のためのワークショップ。参加申込みは随時。

■戯曲創作ワークショップ
 『劇作のれっすん
構想を戯曲化したい方、書き上げた戯曲をリライトしたい方のため講座。
*短期リライトコース受付中!
 ⇒最終稿まで、面談または
  メール個人指導
*単日セミナー随時開催!

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2010年の仕事
'09~'10年 劇団ポプラ
三年寝太郎物語
*脚本・演出(全国巡演中)
オズの魔法使い
*演出
'10年3月 プロジェクトM
ダイニング・キッチン
*作・演出(新作書き下ろし)

'10年9月 レクラム舎
星からの伝言
*脚本

'10年10月 プロジェクトM
夕空はれて
*演出
'11年3月 プロジェクトM
死刑執行人(仮題)』
*作・演出(新作書き下ろし)
近年の舞台作品
10年3月/プロジェクトM
ダイニング・キッチン
*作/演出
(テアトルBONBON)

09年11月/プロジェクトM
飯縄おろし
*作/演出
(タイニイアリス)

09年8月/プロジェクトM
この夜の終わりの美しい窓
*芸術監督
(タイニイアリス)
09年3月/プロジェクトM
離宮のタルト
*作・演出
(相鉄本多劇場/サンモールスタジオ/松本ピカデリーホール/長野ネオンホール/千葉神崎ふれあいプラザ) 『離宮のタルト』DSC01149 『離宮のタルト』DSC01132

08年7月/プロジェクトM
料理人~RIO/喰らう/kurau~
*構成・演出
(こまばアゴラ劇場)
『料理人~RIO:喰らう:kurau~』DSCF2176 『料理人~RIO:喰らう:kurau~』DSCF2446

08年2~3月/プロジェクトM
ファイル/残置物処理班
*作・演出
(サンモールスタジオ/相鉄本多劇場/長野ネオンホール/松本ピカデリーホール)


07年4月~現在/劇団ポプラ
三年寝太郎物語
*脚本・演出
(全国巡演)
近年のラジオ作品
NHK-FM 青春アドベンチャー
『世界でたったひとりの子』脚本
09年1月19~30日 全10回
NHK-FM FMシアター
『残置物処理班』脚本
08年3月8日/10月18日(再放送)
*文化庁芸術祭参加作品
*ABU(アジア・太平洋放送連合)賞、ラジオ ドラマ部門最優秀賞受賞
NHK-FM青春アドベンチャー
『闇の守り人』脚本
07年4月16~27日 全10回
NHK-FM青春アドベンチャー
『精霊の守り人』脚本
07年4月2~13日 全10回(再放送)
DVD・上演台本
プロジェクトM Shop
旧作から新作まで、上演作品のDVD・台本を販売しています