ハイチを知っているだろうか。
今なら「ああ」というだろう。
マグニチュード7、0の大地震にみまわれた首都ポルトーフランスは、いまや「がれきの首都」。
壊滅状態にあるようだ。
ジュネーブの国際赤十字は、死者を4万5千人から5万人と推定しているという。
災害時の生き残りリミットと言われる震災後「72時間」が近づいてる今、多くの人の安否が気づかわれる。
日本も国際社会も援助の手を差し伸べているようだが、どうか皆様にもカンパをお願いしたい。
理由がある。
現状への対応も、おそらく人材も資金も足りない状態であるのはもちろん、ハイチは世界の最貧国でもある。
復興後、状況が良くなることは考えられず、さらに経済は悪化し、人々の生活は貧しさを増すだろう。
なぜ、わたしがハイチの人たちへの援助をお願いするのか。
それは、おそらく、ほんの少し他の日本人よりハイチのことを知っているからである。
どうか読んでいただきたい。
よく間違えられるが、タヒチではない。タヒチは、南太平洋の島。
ハイチはカリブ海にあり、南米のジャマイカとプエルトリコに挟まれた島にある。
コロンブスが、15世紀に発見したヨーロッパにとっての「新世界」だ。
最初は、スペイン領(つまり植民地)になったこの島は、やがてフランス領となった。
この頃には、原住民はスペイン人征服者によって全滅している。
では、今のハイチの住民はどこから来たのか。
アフリカである。
フランスは労働力として、大量の黒人を強制連行して奴隷労働に従事させ、砂糖やコーヒーを作らせた。
当時、砂糖やコーヒーはヨーロッパには存在せず生産もできなかった。
プランテーションという言葉を、中学の社会科で習ったことがあると思う。
この島は、ヨーロッパの工場になり、莫大な富をもたらして、その富が、奴隷を使用して管理する側だった国々が現在の先進国と呼ばれる国家であることにつながっていく。
やがて、奴隷解放の運動が起きる。ただそれは単発的なもので、この島の「奴隷」の歴史は300年に及んだ。
「われらのすべての胸のなかに語りかける自由の声に耳を傾けよ」
1791年8月、一大事件が勃発する。
「カイマン森の儀式」として伝えられる、一斉ほう起準備の集会で語られたのが、先の言葉だ。
わたしは「離宮のタルト」という芝居の中で、この集会の模様を描いた。
紆余曲折のなかで、1793年、奴隷解放宣言、フランスもいたしかたなく、翌74年に黒人奴隷制度の廃止を決定した。そして、1804年、ハイチは独立する。
世界史上最初の黒人共和国、「ハイチ共和国」が誕生したのだ。
この奴隷解放と独立のための運動を総称し、「ハイチ革命」という。
だが、その後のハイチの歩みは苦難に満ちたものだ。
詳細を記述する時間や機会がなく、自分にその力がないのは残念だが、
タヒチの苦悩は次のことにも現れる。
簡単にいうと、その後カリブのハイチと同じような島々には、独立する国は現われなかった。
ヨーロッパ諸国から「なんとしても転移を食い止めなければならぬ癌」のような国家だとして、ハイチは、世界の経済システムから見事に、外されたのだ。
どうしたかといえば、現在も「植民地」という言い方はしていないものの、イギリス連邦の一員であったり、フランス領であって多少の自治を許される、そんな形でカリブの島々は存在するのだ。
これはフランス革命が実際はどういうものであったか、というところまで話は行くのだが、ここでは、またそれは別の話だ。
ハイチは、今に至るまで世界の最貧国である。
ある漫画家が、はっきりいうと柳沢みきおだが、「後進国(発展途上国)には、そうなった事情があって、それは彼ら自身の責任だ」と漫画家自身の分身の主人公が言う漫画がある。
こんな馬鹿な話があるか。
わたしはわりと好きだったこの漫画家の本を全部捨てた。
アフリカから無理矢理、奴隷船にのせて連れてこられ、強制労働させられ、独立を志し、それを果たしたものの、
自分たちの利益を侵す存在として世界から無視され、経済発展がかなわず、今も世界の最貧国である彼らに何の罪があるのか。
今の、世界の形は、日本がこれだけ不況だといいながら、食べ物があふれている状況は彼らの歴史の上にある。
少なくてもそのことをわたしたちは知っていていい。
そして、彼らが、さらに悲惨な状況に陥っている今、たとえ、それが、一片の自己満足だったとしても、手を差し伸べなければいけないはずだ。
日本の発展とのつながりの記述が足りないと思う。
戦後日本の発展は、アメリカとともにあり、アメリカの発展は、ヨーロッパ諸国の富の蓄積にその根拠がある。
そのことだけ書いておく。
実は百年前の日本人は、もっとハイチのことを知っていた。
会津藩士で白虎隊の生き残りだった柴四郎という人が、ハイチ革命について書いている。
趣旨はこうだ。
「最劣等人種の黒人だって、再上位の白人に対して独立できたのだから、黒人よりましな日本人が列強に対して立ち向かえないはずはない」
現在でも8悪の子供が栄養失調、失業率は7割を超える国が、ハイチだ。悲惨というほかない。
言葉たらずだと思う。
だが、どうかカンパをお願いしたい。
わたしが一年前に書いた「離宮のタルト」は「砂糖の歴史」を縦軸にした戯曲であった。
そうか出演者の皆様、スタッフの皆様から募金を。
そして、ご覧いただいたお客様もどうか。
そしてこのブログを目にしていただいた方も。
かつて砂糖は貴重品であった。薬にも莫大な富にもなった。
やがて、いつか砂糖は庶民のものになった。
今、わたしたちが、24時間いつでも、どこでも、甘いものを買うことができ、楽しめる、
その恩恵の多くは、タヒチの民の先祖と独立の歴史、現在の貧困に負っているのだ。
しかし、神というものがいるのならば、何度、この国の人々に試練を与えるのだろう。
どうか。
以下に、ユニセフの募金情報がある。
どうか、いくらでもいい。
カンパをお願いしたい。
ネットバンキング、カードはもちろん、コンビニからでもカンパできる。
どうか、よろしくお願いいたします。
ユニセフ ハイチ地震募金